「たれの帰還 その22」

"めりたれ" と "えおたれ" が、ナズグルの王・あんぐまんたーれの大王 (まんたれ) を、超論理 (別名:屁理屈) と "おたま" によるコンビネーション攻撃で倒したころ、ミナス・ティリス近くの船着き場では、ウンバールの海賊船に乗ったアラゴルン一行 (おーたれ&うぶたれ含む) が、船内に身を隠しながら外の様子を窺っていました。彼らは、姿を消したアルウェン&幽霊さんズと合流できることを期待しながら川を遡ってきたのですが、出会えぬままにとうとう船着き場に到着してしまったのです。

船着き場には、数百人に及ぶサウロン軍の兵士たちが、海賊船の到着を待ち受けていました。まともな戦力になるのがアラゴルンレゴラスの2人しかいない一行では、とうてい太刀打ちできる相手ではありません。かと言って、いつまでも隠れているわけにもいきません。海賊が姿を見せないことを不審に思った兵士たちは、間もなく船を調べようとするはずです。まさに、進退窮まるといった状況です。

 

レゴラス「うーん、いったいどうしたもんだろうねぇ」

アラゴルン「強行突破は論外だ。船の反対側から川に潜れば逃げることは可能だが、それではこいつらがミナス・ティリスを襲撃してしまう ……」

レゴラス「八方ふさがり、かなぁ」

ぎむたれ (Rたれ)「ふっふっふでし。おりには第三の選択肢があるでしよ」

アラゴルン「『とりあえずゴハンを食べるでし〜』なら却下」(きっぱり)

ぎむたれ「あうあう」(図星)

レゴラス「さすが長い付き合いだけあって、"ほびったれ" の心理を知り尽くしてるねぇ」(感心)

アラゴルン「何度も言ったと思うが、好きで詳しくなったわけじゃ、ないっ」

ぎむたれ「素直じゃないでしねぇ、アラゴルンは。いわゆるツンデレってやつでしか?」

アラゴルン「違うっつーとろーが!」

ぎむたれ「(聞いてない) さておき、おーちゃんとうぶちゃんには、何か良い考えがないでしか?…… みゅ?」

アラゴルン「どうした?」

ぎむたれ「おーちゃんたちが、いないでし」(きょろきょろ)

アラゴルン「なんだって?」

ぎむたれ「トイレにでも行ったでしかねぇ?」

レゴラス「いや、それはないよ」

アラゴルン「なぜ断言できるんだ?」

レゴラス「だってほら、あそこに」

 

レゴラスが指さしたのは、船着き場でした。そちらを見たアラゴルンと "ぎむたれ" の目に飛び込んできたのは、サウロン兵たちに酒と料理を売りまくる "おーたれ" と "うぶたれ" の姿でした。例によって、くるくると立ち働く "うぶたれ" と、ひたすら踊りまくる "おーたれ"。なんかもう、大繁盛です

 

アラゴルン「…… たくましいというか、何というか」(呆れ)

レゴラス「こういうのも戦争商人って呼ぶのかなぁ?」

ぎむたれ「おりもゴハン食べたいでし〜」(じたじた)

レゴラス「とりあえず、レンバスならあるよ?」

ぎむたれ「これってお腹はふくれるけど、食べてる実感に欠けるんでしよねぇ」(まぐまぐ)

アラゴルン「…………」(思案中)

レゴラス「どうしたんだい、アラゴルン?」

アラゴルン「これはチャンスかも知れん。彼らが売ってる酒に眠り薬を入れることができれば、戦わずして敵を無力化できるんじゃないか?」

レゴラス「なるほど、それは良いアイディアだね。"ぎむたれ" が薬を持って行けば、怪しまれないだろうし …… ん?」

アラゴルン「どうした?」

レゴラス「…… 残念だけど、その手は使えないようだよ」

アラゴルン「なぜだ?」

レゴラス「ほら、ようやくお姫様のお出ましだ」

アラゴルン「お姫様?…… アルウェンか !?」

 

アラゴルンは、そう言ってレゴラスと同じ方向に目を凝らしました。すると、はるか川下から何者かが水面を走って来るのが、小さく見えました。もちろん、そんな走り方ができるのは、中つ国ではアルウェンの他には存在しません。アラゴルンの顔が明るく輝きました。

 

アラゴルン「ありがたい。これで敵を蹴散らせるぞ!」

ぎむたれ「それはどうでしかねぇ?」(まぐまぐ ← まだ食べている)

アラゴルン「ん?なぜそう思う?」

ぎむたれ「だって、アルウェン姉ちゃんは、まっすぐこの船に向かってきてるでしよ?」(むぐむぐ)

アラゴルン「?……! い、いかん!急いで船から逃げ ……」

 

しかし、アラゴルンは最後まで言い終えることができませんでした。もの凄い勢いで走ってきたアルウェン (パニック状態) が、まともに海賊船に突っ込んできたからです。普通なら船に激突した人間の方がケガをするところですが、もちろんアルウェンは普通ではありません。轟音と共に粉砕されたのは、海賊船の方でした。そして、アラゴルンたちもまた ……

 

アラゴルン「って、またこれか〜〜〜っ!」(ひゅるるるるるべちゃ)

ぎむたれ「あうあう〜」(ひゅるるるるるぽってん)

レゴラス「なるほど、こんな感じで飛ばされるのかぁ」(ひゅるるるるるすたっ)

 

吹っ飛ばされた2人とひとたれは、くるくると宙を舞ってサウロン兵たちの頭上を越え、地面に落下しました。サウロン兵たちは、(一部の酔い潰れた者たちを除いて) 驚きながらも剣を抜き、アラゴルンたちを取り囲みました。絶体絶命のピンチです。

 

アラゴルン「くっ …… アルウェンと幽霊たちは?」

レゴラス「ダメだ。僕らに気づきもせず走り去っていったよ」

アラゴルン「くそっ …… 逃げるか。いや、もはや戦うしかないか」

ぎむたれ「おりには、第三の選択肢が」

アラゴルンメシはさっき食っただろうがっ!」

ぎむたれ「ではなく、こうするのでし〜」(ごにょごにょ)

アラゴルン「ん?いやしかし、もう遅いだろう?」

ぎむたれ「んー、多分だいじょぶでし」

レゴラス「どうするにせよ、早く決めないと。お客さんがお待ちかねだよ?」

アラゴルン「ええい、当たって砕けろだ!…… アルウェンの、筋肉バカーーーーっ!」(バカーっ!バカーっ!← エコー)

  

 

どどどどど

どどどどど

どどどどど

どどどどど

どどどどど

どどどどど

どどどどどどっ!

アルウェン (まなも)「って、誰がバカよ誰がーーっ!」(どげがす)

アラゴルン「どげぐはぁっ!」(ひゅるるるるるるるるきらーん!)

 

いったい、どうやって聞きつけたのか、逃げてるときよりもさらに速いスピードで駆け戻ってきたアルウェンは、見事なフォームでアラゴルンを蹴り飛ばしました。もちろん、彼女が走ったコース上のサウロン兵が、全員なぎ倒されて戦闘不能に陥ったのは、言うまでもありません。さらに、残存兵がアルウェンに殺到しようとしたところへ、彼女を追ってきた幽霊ズが突入。一瞬にしてサウロン兵たちは壊滅したのでした。

 

アルウェン 「うわ、また来た!いやぁぁぁぁぁぁぁっ」(ダッシュ)

幽霊1「アルウェン姫、萌え〜!」(どどどど)

幽霊2「萌え萌え〜っ!」(どどどど)

幽霊3「萌え死ぬ〜っ!」(どどどど)

幽霊3「つーか、とっくに死んでるけどな〜っ!」(どどどど)

幽霊ズ「ひぃぃぃめぇぇぇぇっ!」(どどどどどどどどどどどどど)

 

アルウェンと幽霊たちは再びもの凄い勢いで走り去り、静まりかえった船着き場で、立っているのはレゴラスと "ぎむたれ"、そして "おーたれ" と "うぶたれ" だけでした。

 

ぎむたれ「作戦、大成功でし!」(ガッツポーズ)

レゴラス「成功は良いけど、ホントに当たって砕けちゃったねぇ、アラゴルンは」

ぎむたれ「まあ、慣れてるでしから、きっと無事でしよ」(きっぱり)

レゴラス「あ、それもそうか」(あっさり)

おーたれ (Oたれ)「おれたち的には、十分もうかったので問題ねえぜでし!」(ちゃんかちゃんか)

うぶたれ (Uたれ)「商売繁盛でち〜」

 

とまあ、そんな感じで、ごく一部の者 (アラゴルンとかアラゴルンとか) を除いて、おおむね満足のいく結果となりました。なお、アルウェンが逃げた先にはミナス・ティリスがあったため、そちらのサウロン軍も壊滅してしまったことを付け加えておきます。なんか、そんな書き方で良いのか?って気もしますが、まあ、映画でも幽霊さんズがあっさりとサウロン軍を壊滅させてたし、その際にアラゴルンは置いてけぼりを喰らってたし、大きな違いはないんじゃないかなーと。← あるって

 

 


[続 く]