「怪奇大作戦」感想

今日も今日とて、溜まった録画を消化。今回紹介するのはコレ。

 

[怪奇大作戦セカンドファイル / 怪奇大作戦セレクション]

NHK BS2で鑑賞。今日までに見たのはセカンドファイルの「ゼウスの引鉄」「昭和幻燈小路」「人食い樹」と、オリジナル版の「恐怖の電話」「死を呼ぶ電波」「かまいたち」の6本。

セカンドファイルの主要なキャラクターはオリジナル版と同じ。キャスティングも、なかなか渋いところを揃えていて好感が持てる。主人公・牧史郎の印象が、オリジナル版に比べてやや弱いのは残念だけど、まあ相手が岸田森では仕方がないよなぁ。西島秀俊岸田森では、俳優としての資質 (演技力の優劣ではなく) が全然違うから、オリジナル版の牧のようなサイコっぽさは出ないだろうし、今どきのドラマで、そういうキャラを主人公にするわけにもいかないだろうし。

さて、それでは各話の感想を。まずは「ゼウスの銃爪」。ネタは、この手のジャンルではお馴染みの人体発火もの。謎解きの論理性やリアリティに無理があるものの、人体発火シーンの映像的な魅力と、巧みなサスペンス演出によって、最後まで飽きることなく楽しめた。ただ、犯人の動機を説明しすぎてる感はあるかなぁ。んで、説明が長いわりに説得力がないし。とは言え、三本の中では最も「科学」寄りな話だし、作りも丁寧なので、個人的には一番好きなエピソードである。

続く「昭和幻燈小路」は、一転してノスタルジックな幻想譚。謎の現象によって周囲から隔絶された街、次々に昭和三十年代のそれに姿を変えていく建造物、そしてチンドン屋に屋台に幻灯機に謎の少女と、どこを切っても実相寺なお話である。なんつーか、「ほらポッキン実相寺というか「二進も三進もどうにも実相寺」というか「俺は最初から最後まで後ろ向きにクライマックスだぜ!というか。いや、好きなんだけどね。

んで、まず目を引くのは映像の美しさ。甦った古い街並みは、特殊効果の上手さもあって非常に魅力的で、見てるだけでも楽しいし、「その時代に戻りたい」という作中人物たちの心情にも共感できる。基本的に私は、過去をユートピアとして描く話が大嫌いなんだけど、この話の場合、甦った街並みが過去の美しい部分「だけ」を抽出した幻想の産物であることをきちんと描いているので、不快感は覚えなかった。

また、異変の原因を完全には説明せず、物語を幻想と科学の境界線上に着地させているのも、この話に関しては正解だったと思う。こういう話は、説明しすぎても、逆にしなさすぎてもダメだし。

とまあ、ベクトルは違えど、1〜2話はどちらも楽しめたんだけど、その気分を台無しにしてくれたのが「人食い樹」。過去に5万回くらい見た覚えのある、安っぽい文明批判&自然賛美な話で、正直うんざりさせられた。これまでも何度か日記で書いたが、この手のエセコロジーな話ってのは、人間の一方的で身勝手な幻想を自然に押し付けてるだけだと思うんだがな。「人間以外の生物は互いに調和して生きるすべを知ってる」とかさ。んなわけねーっつの。

もちろん、その辺を理解した上で、あえて犯人にそういう思想を語らせるってやり方もあるとは思うけど、少なくとも脚本家はそこまで考えてないよなー。だって、殺人花粉を無害化する方法が水からの伝言」と同レベルなんだもん。ああ、げんなり。

つーことで、口直しにオリジナル版3本を一気に鑑賞。いやー、面白い面白い。特に「かまいたち」は、怪異現象のおぞましさと妖しい美しさ、スリリングな展開、犯人の造形、ずっしりと重いラストなどなど、今でも十分に通用する傑作である。まだ見てない他のエピソードも楽しみだ。

後、驚いたのは、子供の頃に数回見ただけなのに、しっかり主題歌を覚えていたこと。思わずTVと一緒に「えっさらーい♪えっさーらーい♪謎を追え〜♪」と歌ってしまったことだよ。← やめれ