「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序」感想・その1

会社の帰りに、新高島のシネコン「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序」を鑑賞。とりあえず「おお、頑張ってるなぁ」というのが最初の印象。ストーリーは TV版の第六話「決戦、第3新東京市」までを、ほぼ忠実にトレースしているのだが、絵には「これでもか!」とばかりに手が加えられていて、TV版そのままの部分は皆無と言って良い。

うーん、大月Pや庵野監督による公開前の各種コメントを読んだときは、正直言って「何で今さらエヴァ?」とか「大風呂敷広げちゃってるけど、大丈夫か?」といったネガティブな感想しか浮かばなかったんだけど、実際に見て考えが変わった。マジだわ、この人たち。投入された膨大なりソースと手間、そしてコストを考えると、単なる「売らんかな商法」で作れる作品じゃないもんなー。

さて、ここからは具体的な内容に関する感想を書く。ネタバレが混じるので、できれば映画を見てから読むことをお勧めする。

 

[ストーリー]

前述したように、TV版の第六話までをほぼトレースしている。しかし、いくつかの点で改変が加えられていて、中には基本設定に関わるような改変も存在する。(その辺は後述)

個人的に感心したのは、TVアニメの映画化でありがちな「切り貼り感」が薄いこと。1時間半にまとめるために、かなりのシーンがカットされているのだが、単に切ってつなぐのではなく、細やかなフォローが為されているのだ。

たとえば、TV版の第四話「雨、逃げ出した後」の後半部分。エヴァから降ろされ第3東京市を離れることになったシンジを、ミサト・トウジ・ケンスケが迎えに行くシーンが、新劇場版では丸々カットされている。ここは、シンジとミサトたちの精神的な距離が縮まるシーンなので、カットしたまま五話以降の話をつないでしまうと、「何でこいつら、いきなり仲良くなってんの?」という不自然さが生じることになる。

しかし、新劇場版はその点をちゃんと考慮し、細かい描写を変更して対応している。シンジとミサトの関係は微妙にギクシャクしたまま進むし、ヤシマ作戦の際にトウジたちがシンジに残した留守電メッセージも、「3人はTV版ほど親しくなっていない」ことを前提としたものになっているのだ。つまり、「カットしたエピソードは脳内補完してね」ではなく、「カットされたシーンの出来事は、そもそも起こらなかった」という造りになってるわけっすね。

また、こうした改変によって、ヤシマ作戦に至るまでのシンジの心理にブレがなくなり (要は落ち込みっぱなしなんですが)、結果としてヤシマ作戦カタルシスが増大することにつながっている。なんつーか、単なる作画向上版の総集編じゃなくて、1本の映画として成立するように全体の構成から見直してるって感じ。良く練られてるよなぁ。

もちろん、説明不足だったり、唐突だったりする部分もあるんだけど、これだけ丁寧に作ってあれば文句ないっす。

 

と、ここまで書いた時点でずいぶん長くなった&遅くなってしまったので、続きはまた明日。