「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」感想

昨日牙狼と一緒に見た「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」の感想をちょこっと。

うーん、映像のクオリティは高いし、1920年代のドイツという舞台設定も魅力的なんだけど、なんかこう、見てて釈然としないっつーか。第一次大戦での敗戦による経済崩壊、優生学思想に基づく人種差別、それらを背景にしたナチスの台頭といった、当時の社会情勢を前面に押し出しながら、それがエドとアルの物語 (ひいてはTVアニメ版ハガレン) と上手くリンクしてないんだよなー。つーか、TV版ハガレンでは「錬金術師を使うと『門の向こう側の世界 (我々の住む世界)』で多くの人が死ぬ」という設定があったはずなんすけど。そこをスルーした状態で何を描いても虚しいだけっすよ會川さん。

他にも、アルやヒューズと同じ名前、同じ顔を持つ人々の扱いも「そのキャラに、そういう事をさせる物語的必然って何?」な感じだし、某有名映画監督の行動は意味不明 (つーかあり得ないだろアレは) だし、トゥーレ協会が用意した鎧の中に「たまたま」アルのアレと同じ物があるのは何だかなーだし、あのラストじゃウインリィが可哀想すぎるだろう!だし、ああもうキリがねえや。

つーことで、この映画は「TV版同様に重いテーマを持ち出したあげく、扱いきれずに誤魔化した作品である」っつーのが、私の感想っす。ふうう。

劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (通常版)劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (通常版)
荒川弘 水島精二 朴ロ美

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