「仮面ライダーオーズ」第1話感想

さて、遅くなってしまったが「仮面ライダーオーズ」 の感想を。今回のあらすじはココ

シンケンジャー」以来の小林靖子脚本ということで、ワクワクしながら見たわけだが …… いやー、相変わらず密度が高いっすね。わずか20数分の間に、さりげないセリフと行動で主要登場人物を印象づけ、4人のグリードとアンクとの対立を通じて、テンポ良く基本設定を説明し、物語が当面進む方向について明確に示し、さらに初変身後のオーズのアクションもキッチリ見せるとは。ほとんど匠の技とすら呼びたくなるほどであるよ。

特に、当面の方向性が「完全復活を目論む4人のグリードとアンクとのメダルの奪い合い」であることが、明確に示されたのがナイス。ほら、平成ライダーシリーズって、敵の目的が不必要なまでに謎だったりするじゃん?うっかりすると、最後まで謎のまま終わったりするじゃん?地球の嘆きが巫女でガイアインパクじゃん?何言ってんだムスカ (違)。

やっぱさー、1年という長い時間をかけて描く作品だからこそ、物語が当面どっちに進むかを、早めにちゃんと示すべきだと思うのな。そういった意味で、「オーズ」のこれは対立構造が明確だし、主人公が図らずもアンクと共闘するという捻りも効いてるしで、物語をドライブさせるに十分な原動力だと思うのだ。やっぱ上手ぇっす靖子にゃん。

さて、今度は細かいところに目を向けてみよう。まずは主人公の火野映司。物事に執着を持たない根無し草兄ちゃんなわけだが、知り合って間もない刑事はおろか、右手だけの化け物であるアンクですら、不当な暴力から守ろうとする辺りがイイ感じだ。さらに「楽に救える命がないのは、どこも一緒だな!」みたいなセリフで、何やらハードな過去の存在が暗示されてるし。「とぼけた態度+真っ当な正義感+暗い過去」と来れば、これはもう正統派ヒーロー以外の何ものでもないわけで。今後の活躍が楽しみであるよ。まあ、今回一番好きだったセリフは「刑事さんもそいつも朝からの長い付き合いだからな」だが。

んで、ある意味で映司よりも強烈な印象を残したのが、もう一人の主人公とも言えるアンク。何しろほとんど右手だけの出演だったにも関わらず、むちゃくちゃキャラが立ってるのが凄いぞ。やはりこれは脚本の靖子にゃん、右手を演じた永徳、そして声を当てた三浦涼介の三位一体が相乗効果を発揮したのであろうな。これからも「オーズ」のトリックスターとして、物語を引っぱりつつかき回して欲しいものである。もちろん、バディ物に定評のある小林脚本であるからして、アンクと映司の関係がどう変化していくかも楽しみである

他のキャラに関して言うと、とりあえず怪力ヒロインはけっこう好み。鴻上光生 (職業:歌うパテシェ) は、宇梶剛士の演技があまりにもわかりやすい「怪演」なので、いささか浮いてる感じかなぁ。後、秘書と自販機バイク部隊の隊長に関しては、顔見せ程度なので今週はコメントなし。

ほんでもって、デザインがいろいろ微妙なオーズだが、実際に動いているところを見ると、けっこうイケている。串田アキラ滑舌がハンパない「歌うベルト」も、最初に聞いたときは顎がカクンと落ちたが、アンクの「歌は気にするな」というセリフで大笑いしてしまった時点でオレの負け。お言葉通り、気にせず受け入れることにしたのであった。

つーことで、「来週が楽しみだ」と素直に思える第1話であった。願わくばそんな思いが1年間途切れず続きますように。